ゴハチ牽引唯一の東京始発ブルートレイン Prat6

~DF50牽引14系寝台特急紀伊~

名古屋に到着した「いなば」と「紀伊」は切り離され、後方6両の最後尾に亀山所属のDF50が連結。1975年3月時点では伊勢鉄道が開通していないため、亀山経由となります。

登場時のダイヤを紐解いてみると、急行時代の「紀伊」ダイヤは名古屋ー亀岡間で6分短縮されているものの、亀山ー紀伊勝浦間では発車時刻をずらしただけで、各停車駅間の所要時間はまったく同じである事に気が付きます。このダイヤを確認する前は馬力が弱く加速性能が低いDF50であっても、平坦区間の多い多気までの区間は50%と30%の弱界磁制御で90km/hが可能なDF50だけに急行時代を上回る所要時間の短縮を期待していたのですが…

しかし、亀山―紀伊勝浦間の各停車駅間の表定速度を出してみると、亀山ー多気間の平坦区間の表定速度は56.7km/h、25‰の勾配と急カーブ区間が続く多気ー尾鷲間でも50.5km/hと高い値になっていました。これはあくまでも筆者の予想ですが、そもそも亀山―紀伊勝浦間は単線のため、途中の37の通過駅の45km/hのポイント通過制限速度という足枷を補うため、各通過駅間の速度はそれなりに高い速度で走行しなければこの表定速度の値は出ないのではないでしょうか。加速性能が低いDF50ならなおさらです。急行時代の「紀伊」の速度設定が特急に格上げした後も用いられたのは、すでに急行時代からDF50の性能値ギリギリで運転されていたからという事もあるのかもしれません。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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