45歳の幼稚園児

私が幼稚園児の頃、所は横浜のデパートのおもちゃ売り場。ショーケース越しに幼い瞳に映ったのは151系こだまの模型。その優美な流線型に心を奪われ、たちまち虜に!しかし、父はその値段を見るや否や、私の手を引き、立ち去ったのでした。

その日から成人になるまで、151系の模型を製作販売しているカワイモデル・つぼみ堂・天賞堂のカタログを眺めるだけの追憶の日々が続きました。それから年月は過ぎ、いつしか、幼かった私の心に刻まれていたはずの、あの優美な流線型の模型への憧れは薄れていったのでした…

そんなある日の事、45歳になった私は娘の大学の卒業式に。その帰り道に突然、あの優美な流線型の模型が現れたのです。それは偶然に通りがかったカワイモデルの店舗前です。あの優美な流線型の151系のカワイモデルです。

妻と娘を誘うように店内に入ると、左側のショーウィンドウに並ぶ151系が…
その瞬間にタイムトンネルの扉が開き、私の心は、あの頃の横浜のデパートのおもちゃ売り場に。カワイモデル店内で嬉しそうにショーウィンドウを見つめる私の姿は妻と娘には45歳の幼稚園児で、特に娘には初めて見る父親の表情だったようです。
(文/製作室長老)

次回に続きます。

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