ゴハチ牽引唯一の東京始発ブルートレイン Prat5

~麗しの東京駅12番線13番線ホーム~

今回から「いなば・紀伊」1975年3月登場時のダイヤを紐解いてみます。「いなば・紀伊」は東京駅13番線に20時07分に入線。発車が20時40分なので、当時の優等列車専用のホーム(12・13番線)では、他のホームでは味わえない33分間に渡るゆったりとした出発前の風景を味わう事が出来ました。

一方、2005年4月の富士はやぶさや出雲、サンライズ、銀河では僅か10分と時間が短く、東京駅のこのホーム上で行なわれるブルートレイン牽引機の機回しや、その後の進行方向に輝くヘッドマークを付けた牽引機の撮影といった鉄道ファンには欠かせない儀式も慌ただしさを感じながら行われたものでした。

さて、「いなば・紀伊」登場時に話を戻すと、ブルートレインをはじめとする他の優等列車の12・13番線での待機時間はいずれも30分近くあり、ホーム上の優雅な時の流れを楽しむことが出来ましたが、ブルートレインが姿を消してしまった今となっては決して味わえないものとなってしまいました。

2008年廃止前の銀河入線風景 ~youtubeオリジナル動画 ふるさとの風 帰っておいで~

尚、EF58に牽引された「いなば・紀伊」は20時40分に発車しますが、「いなば・紀伊」の18分前に静岡行き普通が、10分前には横須賀線の横須賀行きが先行します。この頃の横須賀線は地下線化されておらず、地上ホームでの発着だったこともあり、東海道本線と横須賀線は路線が共有となっていました。それによって「いなば・紀伊」は横須賀行きには大船までが、静岡行きには三島まで道を塞がれての走行を余儀なくされます。

また、浜松では東小倉行きの急行荷物列車を追い越すというように、「いなば・紀伊」を優先したダイヤではなく、帰宅時間の通勤電車を優先したダイヤが組まれていました。現に「いなば・紀伊」以外のブルートレインは品川や横浜、平塚といった東京から比較的近い駅で普通電車の追い抜きが行われていたため、東京―沼津間の「いなば・紀伊」以外のブルートレインの表定速度が約70km/hなのに対し、「いなば・紀伊」の表定速度が60.7km/hと差が生じています。

制作室の長老の話では下りの東海道・横須賀線が最も混み合うのはこの時間帯からで、残業後や一杯ひっかけた後の帰宅時間がこの時間帯に被っていました。そういった理由から帰宅の普通電車を優先したダイヤが組まれていたようです。沼津から名古屋までは他のブルートレインとほぼ同じの表定速度、約75km/hとEF58の韋駄天ぶりが窺えます。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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