新381系誕生秘話~その14~

  伯備線の電化計画とカントの再改修

当初の計画から5年も遅れて伯備線の軌道強化工事が完了すると、その遅れを挽回すべく、1977年3月、すぐに電化工事に入りました。
とはいえ、この時点での完了した軌道強化工事内容は、複線化や列車交換に必要な信号所の開設工事などが主で、一部を除いては381系特有のカント角度への変更工事は行われておらず、再度、地上部分の軌道強化工事のやり直しが必要でした。

さて、電化工事ですが、伯備線の電化は3つのブロックに分かれて行われました。倉敷-備中高梁は急なカーブが少なく、比較的高速運転が可能なため、架線の張力が高いヘビーシンプルカテナリー方式の架線が採用されました。
また、山間部の難所が続く備中高梁-根雨間は急なS字カーブが連続する区間であり、各S字の急カーブの特徴ごとに支持支点が変えられる、シンプルカテナリー方式の架線が採用されました。

実はこの2種類の架線方式には線路側のカント角度が関わっており、そもそもキハ181と振り子式の381系では適合するカント角度が異なれば架線の張り方も異なります。
急なS字カーブが少ないヘビーシンプルカテナリー方式の架線が採用されている倉敷-備中高梁や根雨-米子間では、キハ181と振り子式の381系のカント角度の差はあまりありませんので、比較的計画した期日内での架線工事もこなせます。

一方、山間部の難所が続く備中高梁-根雨間では、キハ181と振り子式の381系のカント角度の差は大きく、再度、レールのカント改修が必要になり得ます。特に伯備線のこの区間は急なS字カーブが連続するなど、初の381系入線のために行った中央
西線での山間部でのレールのカント改修時でも前例がない程、複雑なカントの再改修が伯備線のこの区間では求められました。

さらに、急なS字カーブが連続するこの区間の架線工事も複雑なカントに対応させる必要があり、架線の張り金具や支持間隔もこの区間特有の構造に合わせる必要がありました。

結局、伯備線の山間部に於いてのカントの再改修とそれに応じた複雑な架線工事内容が工事日程をさらに遅らせたため、伯備線の電化工事だけでおよそ5年の歳月がかかってしまいました。
ちなみに、電化工事まで含めた工事を5年で完成させた山陽新幹線の新大阪-岡山間と比べると、伯備線の軌道強化がどれだけ大変だったかがわかります。

つづく

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