カワイモデル店内で嬉しそうにショーウィンドウを見つめる私に妻の思いがけない一言が。「パパ、買いなさいよ!この子も大学を卒業して、もう子供にはお金がかからないし、この子の大学の卒業式の日にこの模型に出会った偶然は、買いなさいという事じゃない?」実は妻には、私が幼稚園児の頃、出会った151系こだまの模型の話をしたことがあり、その時に刻み付けられた美的感覚が現在の仕事の源になっていることが解かっているのです。
しかし、そんな私たち夫婦の会話を聞いていたカワイモデルの女性店主が、「ごめんなさい。もう完成品は1両もないんです…塗装済みのボティーに必要なパーツを組み合わせれば、2、3両程度なら揃えられるかも…」そう言って2階の若い店員(息子さん?)を呼び、揃えられる車両を調べてもらいました。
結局、揃えられたのはクハとパンタ付きのモハの2両だけ。「これがうちのに残っていた最後の2両です。可愛がってあげてくださいね。」と1階と2階を何往復もしながらボティー以外の部品を探してくれた若い店員さん。
12両のフル編成は揃えられなかったものの(かなりの金額になる為、買えたかどうかはさておき)、私はこの2両だけで満足でした。カワイモデルに残っていた最後の2両は、私の夢のために待っていてくれたのだ!娘の卒業式の帰り道で偶然通りがかったカワイモデル、そして最後の在庫の2両と、この日の度重なる偶然が、私を勝手にそう思い込ませたのでした。
(文/製作室長老)
次回に続きます。