伯備線の軌道改良工事は当時、勾配区間が連続する急峻な山岳線区向けの大出力エンジンを搭載したキハ181を投入する事を前提に線路等級のアップがなされました。
この工事はそれまでの線路等級を上げる事によって高速化するという考えでしかなく、伯備線のような中国山地越えの本格的な山岳路線の場合、高速化に適した線路等級のアップが困難な区間がそれを拒みます。実際に備中高梁ー江尾間は(84.1km)急勾配とR200のカーブが連続するため、この区間においてはキハ181の運転に見合った線路等級のアップが行えないという予測から高出力のキハ181であっても新幹線の岡山と山陰を速達につなぐには、かなり難しいという結論にすでに至っていました。
実際に伯備線内(岡山ー米子)に投入された「おき」の評定速度は60km/h(58.5km/h)にも満たない結果になってしまいました。
ちなみに伯備線の岡山ー米子間の距離159.1kmと、ほぼ同じ距離の東北本線、上野ー黒磯157.7kmをキハ181「つばさ」の評定速度は85.4km/hであることから、山岳路線である伯備線に於いても新幹線の岡山と山陰を結ぶ速達路線としては75km/hぐらいの評定速度が必要とされていたのでしょう。

さて1968年には、すでにそれまでの線路等級を上げる事によって高速化させるという概念ではなく、振り子システムによって高速化させるという新しい高速化の概念が発表されていました。振り子システムによって分岐器の通過速度や曲線での通過速度を向上させ列車の平均速度を上げるという今までとは異なる構想です。1970年~1972年にかけて交直両用591系・キハ591試作試験車が完成し、伯備線にて予想を上回る評定速度を叩き出したのでした。
つづく
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