現在、発売へむけ鋭意準備を進めているメイクアップシール「35系4000番台SLやまぐち号」ですが、各車両の詳報をお届けするに当たって、まずはシール化を行った全車両を簡単に紹介しつつ、全体的なコンセプトについて述べたいと思います。
今回の「SLやまぐち」のシール化は昨年の4月に販売となった「50系700番代SL人吉」とほぼ同時期に製品化が決定していました。
「SL人吉」は模型の成形から内装デザインまで完全な新規製作となるため、製作にあたってはそれなりの時間が必要になるものと想定していましたが、その点「SLやまぐち」は実車の製造コンセプト自体が、“最新技術で快適な旧型客車を再現”となっており、展示ブースやシミュレーターが備えられた3号車のナハ35は別にして、車両のベース自体は旧型客車が再現されています。旧型客車については私どももこれまで多くの車両のシール化を手掛けていますので、シール化自体にそれほどの難しさはありませんでした。
そうした中、「SLやまぐち」のシールデザインにおいて特に意識したのが「現代的な意匠性」です。「SLやまぐち」では、ここ近年誕生した豪華列車などでも採用されている新しい木材の活用技術などが使用されているようです。実際、当時の旧型客車の車内にはお洒落さやデザイン性を見て取ることは困難ですが、「SLやまぐち」の車両は壁面から床板に至るまで、デザイン性が明確に意図された造りをしています。
その意図されたデザイン性がある故に、「SLやまぐち」は単なる復刻列車ではない高品位な観光列車と認識されているのだと、今回シール化するに当たって強く感じると同時に、シール化に於ける重要なファクターとなっています。
1号車オロテ35-4001
1号車オロテ35の客室は絨毯敷きとなっており、赤モケットの座席です。壁面の板の色調も他の号車よりも若干濃いめのトーンになっています。オリジナルカーであるマイテ49の豪華さを庶民的(?)にしたような印象を受けますが、どうなのでしょうか?
3号車ナハ35-4001
完全新規製作となった3号車ナハ35。SL運転シミュレーターにかまたき体験ゲームコーナー、そしてSLに関する情報を紹介するパネル展示コーナーも完璧再現。それにしても最近の列車ではこうしたアクティビティも重要なのですねぇ。
4号車オハ35-4001
2号車スハ35と4号車のオハ35は、どちらも旧型客車オハ35をモデルとしており、共通の車内成形となっています。実車では2号車のスハ35には客室の端に大型の荷物置き場が設けられているのですが、模型ではボックス席とテーブルが成形されていることから、同様のシール再現となります。
5号車スハテ35-4001
客室でまず目を引くのが、旧型客車オハ61系などでみられた板だけの背ずり座席です。昨今の快適性を追求する風潮の中、座席に背ずりモケットを採用しなかった心意気に拍手を送りたくなります。この板張り座席、ご年配の方のなかには当時の旧型客車で実物を目にされたことのある人もいらっしゃると思います。尚、モケットのカラーはこの車両のみ黄緑色です。また、車椅子にも対応したバリアフリー車両で、ドアの幅も他の車両より広くなっており、そうした差異もシールで表現しています。
今回は「SLやまぐち」の各車両を簡単にご紹介してきましたが、メイクアップシールでは他にも客室に掲示されているレトロな鉄道線路略図や液晶モニターの地図なども再現しています。次回はそうした点も含めてさらに各車両を詳しくご紹介させていただきます。どうぞ、お楽しみに。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。