メイクアップシール「(HO)24系 夢空間 3両セット」詳報3~オハフ25~

メイクアップシール「(HO)24系 夢空間」~オハフ25-901~

「透明シールで二重構造の窓ガラスを再現!」

「夢空間」オハフ25の詳報1では車両全体の説明をさせていただきましたが、今回の詳報2ではシールの製作上、最も試行錯誤を繰り返すこととなったバーカウンター部分並びに窓際のカーテン壁面パーツの再現について紹介したいと思います。

さて、試行錯誤を繰り返すこととなった最大の理由。それにはバーカウンターとバーフロアをデザインした担当デザイナーについて触れなければなりません。担当デザイナーの作ったバーカウンターをちょっとご覧ください。

お気づきですか?実はこのデザイン、わざわざ線をグラデーションで表現しているのです。本来1本の線で済むところを、わざわざグラデーションで描いています。ここまでする必要あるの?そんな風に思うスタッフもいるようです。だけど彼は、線をグラデーションで描くことで、カウンターの雰囲気を醸し出そうとしているのです。

彼のデザインに対しての姿勢はとにかく細部にまで徹底的にこだわるというもので、これまでにもデザインしたシールではグラデーションの階調を重ね合わせ過ぎて上手く印刷が出来なかったり、デザインを優先したために貼り付け時に複雑な切り込みが必要だったり…ということが多々あります。

壁面ガラス部分の拡大画像データ

今回、バーカウンター背面の壁面も彼が担当しました。窓ガラスに彫られている花の図案と窓ガラスの網目まで再現してありますが、デザイン担当氏曰く、「この壁面と窓ガラスがバーカウンターを引き立たせる最大の立て役者」とのこと。窓ガラスに彫られている花や網目の絶妙な見え方を追求し、2週間作業に費やしたとかいないとか…

そんなこだわりから、窓ガラス部分の再現についてはある問題が発生することになります。それはあたかも信越本線の碓氷峠の如く立ちはだかることに。

折角の立役者である窓ガラス部分は、当然カットしなければ車内が見えなくなってしまいます。しかし、「窓ガラス部分を切り抜いただけでは肝心のバーカウンターの存在感が半減してしまう」とは彼の言。続いて、「我々にも碓氷峠を越えるための牽引機EF63に当たるアイデアが必要なのだ…」

そんなやり取りを経て辿り着いた答えが窓ガラスのデザインを極力活かすための「透明シールによる二重窓構造の再現」でした。

透明のフィルムシールにはガラス上部の花柄やガラス部分のストライプが印刷されており、実際に模型に貼付すると、外からは窓ガラス中央の3本の壁面部分が薄っすらと見える形になります。

外側の透明フィルムシールは内側に貼ってある透明シールの糊面にホコリなどが付着するのを防ぐ目的もあります。また自然な見え方になるよう、透明シールは壁面をデザインしてあるフィルムシールよりも先に貼ってみたものの、デザインの位置を一致させる事が難しかった為、フィルムシールの上に透明シールを貼る事としました。

さて、オハフ25での“てんやわんや”はバーカウンターでも続くことに…

「メイクアップシール初となるフィルムシールの裏面に透明シール!?」

オハフ25のなかでも、最も目を引くのがバーカウンター周りです。半円形のカウンター部分は、これまでの経験から判断してシール化自体はそれほど難しくはなさそうでしたが、問題はカウンター奥側に設えられた棚部分の再現でした。

模型上では既に棚が成形されており、まずは従来通り棚の内側をすべてシール化してみたものの、せっかくの棚なのにカウンター内部のアイスペールやグラスなどが全くないのはおかしいなどの理由からと再現効果が弱いと断念。

結果的に上写真のように、フィルムシールで棚部分を1枚のシール再現することになったものの、この再現方法にはある欠点が…

フィルムシールだけを使ってバーを再現した場合の裏側

それは窓の外側から車内を見るとフィルムシール裏面で真っ白に。いくら車内側が良くてもこれでは製品化OKを出すわけにはいきません。

ここで試行錯誤を繰り返すうちに偶然(?)発見したのが、透明のフィルムシールにバーの棚をデザインしたフィルムシールを重ねて貼ってしまうという方法でした。

フィルムシールと透明シールを併用した場合のバーの裏側

バーの棚シールを透明のフィルムシールに重ね合わせることで、なかなか面白い風合いが表現されます。但し、この場合でも車内を見ることは出来なくなります。そこで、車内側のクッキリとした再現性だけではなく、窓側から車内が見えることにウエイトを置いたのが、透明のフィルムシールに棚の部分を印刷した表現方法です。

透明シールによる再現

模型の棚部分の成形サイズに合わせた透明シールを貼っています。透明シールですので、フィルムシールのようなクッキリした再現にはなりませんが、窓側から車内を見た場合、透けて車内をうっすらと見ることができる再現となります。

透明シールを使用した場合のバーの裏側

また、画像はありませんが3番めの表現方法として、棚の部分にはフィルムも透明もどちらもシールを貼らない、という手段もあります。この場合、棚の食器類の再現は出来ませんが、ボディを被せた場合でも車内側はよく見えます。

以上のようにメイクアップシール“夢空間”では、お好みに応じて下記の3通りの再現方法をお選びいただけるようになっています。
(1)透明シール+フィルムシール併用による再現
(2)透明シールによる再現
(3)該当部分カットによる再現

カウンターバーの再現はデザインやシールの形状といった問題ではなく、シールの再現性と窓から車内を見た場合の視認性という相反する難題に直面することとなりました。

お洒落な筆記体で描かれた「クリスタルラウンジ・スプレモ」

透明のフィルムシールで二重窓を再現したオハフ25のバーを車外から覗いてみました。窓ガラスを区切った3本のラインが浮かび上がって実感的になります。

但し、透明シールを貼った場合、型ガラス(凹凸ガラス)の再現となる為、車内をクリアな状態で視認することはできなくなりますので、透明シールの使用は、車外からの見え方も考慮したうえで再現いただければと思います。

尚、製品には透明シールで再現できなかったオハフ25の閉じた状態のカーテンをマットシールに印刷して付属。車内の再現とあわせて、車外からの魅せ方もお楽しみいただけるようになっています。

製作室としては現在発売中のメイクアップシールで唯一となる、透明シールにフィルムシールを重ね合わせて貼る表現を推奨しておりますが、お客様のご判断でお好みのバーカウンターを再現いただければと思います。

今回はオハフ25のバーカウンター及び壁面再現における、製作室デザイナーのこだわりと共に悪戦苦闘振りをご紹介しました。次の詳報はいよいよ“夢空間”最後の車両オロネ25です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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