4: ヨンサントオと伯備線
ヨンサントオに於ける、特急列車の速達化の失敗を予測していた国鉄技術部門では、鉄道技術研究所の支援を受け、これまでの速度設定の概念とはまったく異なる振り子式車両の開発に踏み切りました。
その内容は、これまでの最高速度を中心に捉えた速度設定ではなく、振子システムによる高速運転時の分岐器の通過速度や、曲線での通過速度を向上させることで、列車の平均速度を上げる、という今までとは視点の異なる構想でした。
1968年4月の国鉄常務会で発表された在来線列車の限界速度の内容を基に、台車に振り子機能を組み込むという技術と活用して、6月には列車速度調査委員会が新たな速度設定を打ち出しました。
その内容は、振子式システムを搭載することにより、最高速度130km/h、曲線制限速度+20km/h、分岐器直線側通過速度130km/hでは、表定速度は100km/h超となるというものでした。
直ちに国鉄では川崎重工に振子式試験車591系を発注。そしてこの591系の設計内容から、高速運転時の線路や架線などの軌道に対するダメージの軽減にもかなりの効果があるという判断から、最初の営業運転は架線のトラブルやレールの亀裂といったトラブルの多発していた東北本線特急「ひばり」を予定していました。

国鉄初の振子式試験車591系
試験車としては591系という営業用車両に準拠した形式名が与えられた異例の試験車両。試験終了後に多少の改良を施した後、そのままの形式名で上野-仙台間の「ひばり」に投入する予定だったためです。試験車でありながら最初から交直両用・耐寒構造など東北本戦を意識した構造内容となっていました。
つづく
