ジオラマでカメラの静止画の画質を検証する~EOS 5D Mark IV~

10月13日公開のブログ「ジオラマでカメラの動画画質を検証する~EOS 5D Mark IV~」では、ビデオカメラXA20と一眼レフカメラEOS5DMarkIVの動画画質をそれぞれ比較してみました。

~ビデオカメラの静止画像を検証するワケ~

動画による映像作品を制作する場合、メインは動画映像を繋ぎ合わせることによって製作するわけですが、情報のフォローや象徴的なシーンのインサートなど静止画像を動画と併用する事で作品の魅力がいっそう高まります。

例えば、現在製作中の映像作品ではフィギュアからにじみ出る佇まいを写した静止画像を効果的に挿入することで、ドラマ性がより感じられるようになります。

さて、解像度の高い綺麗な静止画を撮るだけであれば一眼レフカメラを使えばよく、ビデオカメラの静止画像は必要ありません。しかし、動画映像の質感を統一させる場合、あまりに高解像度でメリハリの利いた静止画画像が動画のなかに挿入されてしまうと、視聴時の違和感に繋がってしまいます。そうならないように、使用する一眼レフカメラ及びレンズの解像度や色味の特性と、ビデオカメラの映像、画像との違いを意識する必要があります。

また、撮影時の状況によっては動画での撮影が出来ない場合などもあり、一眼レフカメラによる動画撮影とは反対に、ビデオカメラで静止画撮影を行うケースもあり、こうした理由から製作室ではビデオカメラと一眼レフカメラでの静止画画像の比較検証も行っています。

さて、今回の検証も以前の動画画質検証と同じく、ビルディングのジオラマを使ってビデオカメラXA20と一眼レフカメラEOS5DMarkIVでの静止画画像の比較を実施しました。

撮影条件は下記の通りです。
ビデオカメラXA20の静止画サイズは1920×1080で撮影。

尚、前回は動画画質の検証ということで、データを一旦Premiere pro上で開いて静止画画像に書き出しを行いましたが、今回は静止画の検証ということで、そのままjpeg画像のデータを補正せずに掲載しています。

一眼レフカメラEOS5DMarkIVは最高画質の6720×4480で撮影。
レンズはシフトレンズTS-E90mm F2.8とEF24-70mm F4L IS USMの2本を使用しました。

レンズの焦点が異なるので、今回は撮影位置を調整して出来るだけ近い画角になるように撮影しています。また、画像ソフトによる色調の調整は行っていません。

XA20

EOS5DMarkIV/TS-E90mm F2.8

EOS5DMarkIV/EF24-70mm F4L IS USM

画像の拡大 左:XA20 中央:TS-E90mm F2.8 右:EF24-70mm F4L IS USM

画質に解像度、そして色味とビデオカメラと一眼レフカメラでは画像の品質に圧倒的な差があります。EOS5Dの2枚を比較すると一見違いが分かり難いですが、EF24-70mm F4L IS USMの方が色の抜けがよくフィギュアの服が鮮やかに再現されています。

また、拡大してみるとTS-E90mm F2.8よりもマゼンタがかっています。尚、ピントに関しては写真中央のTS-E90mm F2.8に比べ若干甘くなっていますが、実はEF24-70mm F4L IS USMは1つ下の階のフィギュアにピントが合っていました。

XA20

EOS5DMarkIV/TS-E90mm F2.8

EOS5DMarkIV/EF24-70mm F4L IS USM

画像の拡大 左:XA20 中央:TS-E90mm F2.8 右:EF24-70mm F4L IS USM

シフトレンズTS-E90mm F2.8はティルトして撮影していますが、こちらの写真ではレンズの違いによる画像の差が大きく出る結果となりました。EF24-70mm F4L IS USMでは画像全面にピントが回っているのに対して、TS-E90mm F2.8では画像のうえの方がボケています。また、中央のビルの色味にも大きく異なっています。

但し、画像の中央部分を拡大してみると、EF24-70mm F4L IS USMよりもTS-E90mm F2.8もしっかりとピントが合っています。TS-E90mm F2.8はクセのあるレンズなので、本来は同一カットでも何枚かは試写を行った方が良いようです。

尚、カメラの画質(解像度)は動画で使用する場合であっても最高画質で撮影するようにしています。フルハイビジョンでも1920×1080ピクセルなので、EOS5Dの最高画素数6720×4480で撮影する必要はないのですが、動画上でクロップしたりモーションをつけて静止画画像に動きの演出を加える際、ピクセル数が多い方が有利だからです。

只、高ピクセルでの撮影にはデメリットもあります。まずはデータ容量が重いためストレージを圧迫し、転送やパソコンでの処理に要する時間が増えます。また、撮影に関してはわずかなブレもしっかりと描写されてしまう傾向があるので、より確実な写真を撮るために三脚やレリーズを使った撮影を心掛けています。

以上のように当たり前のことながらビデオカメラと一眼レフカメラで撮影した静止画画像にも大きな差があり、カメラ撮影においても使用レンズ毎に写り方が異なります。一眼レフカメラでインサート用の静止画像を撮影する際には、画角や色味、描写力が動画に馴染むように撮影する必要が出てきますので、動画製作では静止画画像の検証も重要な要素だと思っています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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