381系「やくも」座席変遷

日本で初めて急カーブが多い山岳路線に対応した自動振子装置を採用し、1973年「しなの」としてデビューした特急形車両381系は、その後1978年に「くろしお」、そして1982年には「やくも」にも導入されました。

この特急「やくも」は元祖振り子式車両を踏襲した最後の国鉄特急形電車でしたが、長らく振り子装置そのものの改良はなされなかったこともあり、国鉄時代最後の特急車両であると同時に、元祖振り子式を受け継ぐ車両として存在し続けました。「やくも」は元祖振り子式車両であったからこそ酔いやすい電車として有名でしたが、その元祖振り子式を受け継いだ381系電車が、いよいよ引退を迎えようとしています。


2022年に50周年記念として、当時活躍していた懐かしのクリーム4号と赤2号の国鉄特急色に塗装されたリバイバル編成が運転され話題となりました。そんな381系「やくも」はデビュー以降、外装のカラーリングのほか、特に車内のリニューアルを繰り返し、進化を続けてきました。

左から:国鉄色、緑やくも、ゆったりやくも

本日の富塚通信では、次回発売となります新メイクアップシール「381系やくも(リニューアル編成)」を含めた、381系電車の車内変遷についてご紹介します。

メイクアップシールではもちろん、それぞれの時代の変遷に合わせたシールのデザイン再現を行っています。まずは懐かしの国鉄色特急時代から。

左:普通車モハ380

右:国鉄時代グリーン車サロ381

国鉄時代の車内は、普通車は簡易リクライニングシートの「R52」。グリーン車はシートピッチが広い形式「R30」のリクライニングシート。往時のレトロな雰囲気があります。

その後リニューアルされ、「緑やくも」の頃の普通車は指定席と自由席があり、自由席において緑モケットのタイプが使われることがあったようです。また、背面テーブルもいくつかバリエーションがありました。

左:指定席仕様

右:自由席仕様

簡易リクライニングシートで自由席が「R52改」、指定席が「R52BN改」。
背ずりに二本引き込み線が入ったバケットシートで、実車では真ん中のひじ掛けは存在しません。
ヘッドカバーは枕部分が持ち上がることから短めの再現になっています。

「やくも(リニューアル編成)」グリーン車サロ

2+1配置へと変わり、紫色のモケット地が高級感を醸し出します。グリーン車は今回完全禁煙になった時点の最終形のデザインを採用しました。ちなみに模型上、リニューアル編成仕様の座席の成型が「ゆったりやくも」仕様のものよりも高く成形されていました。

そして現行の「ゆったりやくも」では完全禁煙が進みシート座席が完全に置き換わり、印象も随分と変わりました。

左:ゆったりやくも普通車

右:「ゆったりやくも」クロ 

普通車は北陸線で使われていたサンダーバードの座席を改良した「WEC147916」。臙脂色の柄ありモケットの座席に、ゆったりくつろげるよう工夫が凝らされ、イスの間にも手すりがつき、ヘッドカバーが長く垂れ下がっています。
そしてグリーン車は2+1配置で大型の座席で、R30を改造した「WRK234」に。可動式のヘッドレストでより寛げるようになっています。

トピックス

1985年3月のダイヤ改正で、急行「きのくに」が「くろしお」に格上げされた際、381系は投入されずに、東北新幹線の完成によって余剰した「ひばり」「やまびこ」「はつかり」として使われていた485系が投入されました。ところが485系には振り子装置が入っていないことから、キハ58時代の急行「きのくに」と、特急でありながら同じくらいのダイヤになってしまうという事態に。このことからも、381系がいかにカーブの多い路線に適し、スピード性能が高かったかが窺い知れます。

さて、ここまで381系電車「やくも」の座席変遷をメイクアップシールの座席シールを使ってご紹介してきましたが、最後に新製品メイクアップシールのご紹介です。

次回発売のメイクアップシールはKATO「381系やくも(リニューアル編成)」対応のシールとなります。現在、基本セット・増結セットともにシール化作業は完了し、マニュアルの製作を進めています。

山里の緑を思わせるグリーンの帯を纏った381系「やくも」

次からは「381系やくも(リニューアル編成)」各車両の詳報をお届けします。どうぞ、ご期待ください。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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