製作室では現在、「サンライズエクスプレス」や「やくも」をメインとした動画映像の製作を行っています。タイミングも丁度10月という事で、出雲特有の神在月やパワースポットなどの文化的観点も映像化できればと挑戦中です。
さて、振り返ってみると、これまで製作室で製作してきた映像作品はすべてビデオカメラで撮影を行ってきました。「ビデオで動画を撮影する」いかにも当たり前のことを言っているようですが、最近ではプロの撮影現場でも写真用カメラで動画を撮るというスタイルが増えてきています。
ビデオカメラではなく、カメラで動画を撮る大きな利点としてはまず高画質で綺麗な映像が撮れることが挙げられます。そして、レンズを交換する事で様々な画角やボケ味の映像が撮影できる点も大きなメリットです。これまで製作室でもカメラを使った動画撮影を試してきましたが、これまでの一眼カメラの動画には、どうしても動きに不自然さが残るということで動画はビデオカメラで撮影を行ってきました。
しかし、製作室にて新たに導入したキャノンEOS5Dは、カメラでも動画が撮れるという大きな流れを作ったカメラであり、今回の動画作品で活用できないものかと色々と試行錯誤の最中です。そこで本ブログでは同じくキャノンのビデオカメラXA20とEOS5DMarkIVの画質の違いを比較してみましたので、ご紹介したいと思います。
被写体は高層ビルのジオラマを使用します。それぞれ広角側と最大望遠で撮影。また、鉄道模型の夜景シーンを想定して室内の照明を消灯した状態でも撮影しました。
EOS5D MarkIVのレンズはEF70-200mm F4L IS USMを使用。尚、余談ながらEOS5DMarkIVは4K動画も撮れる仕様にはなっていますが、その評判は芳しくありません。詳しくは省略しますが、当方でもメイン業務で使用しているフルハイビジョンで比較撮影を行いました。
動画の撮影設定は下記の通りです。
撮影:FHD フレームレート29.97fps (ALL-I) 記録形式:MOV
ピントについてはカメラ、ビデオどちらもオートフォーカスを使い、手動では調整をしていません。また、撮影画像の色調に関してはパソコン上のソフトウェアを使っての補正や調整は一切行っていません。
それではここからは比較画像をご覧ください。まずは広角画像の比較です。
EOS5D MarkIV(広角)
XA20(広角)
広角画像の拡大 左:EOS5D MarkIV 右:XA20
次に最大望遠画像です。望遠はカメラとビデオで画角が異なります。
EOS5D MarkIV(望遠)
XA20(望遠)
望遠画像の拡大 左:EOS5D MarkIV 右:XA20
カメラとビデオでは最大望遠の倍率が異なるため、単純な比較は出来ませんが、ふちの処理を含めEOS5Dの方が高画質な仕上がりとなります。
続いては室内の照明を消して、ジオラマの光源のみによる夜景シーンを比較します。
EOS5D MarkIV(広角)
XA20(広角)
広角画像の拡大 左:EOS5D MarkIV 右:XA20
EOS5D MarkIV(望遠)
XA20(望遠)
望遠画像の拡大 左:EOS5D MarkIV 右:XA20
夜景シーンでもカメラとビデオそれぞれで、昼景シーンと同様の傾向が見受けられます。カメラ、ビデオともに同じフルハイビジョンで撮影していますので、ピクセルの荒さそのものに違いはありません。
しかし色味やトーン処理の仕方でEOS5Dでは被写体がくっきりとシャープに見え、一方のXA20ではぼやけ気味な画質となりました。但し、ぼやけ気味な画質はある意味では柔らかな表現にもつながります。映す被写体が柔らかいものであった場合、EOS5Dの描画のようにあまりにシャープでは硬い印象を与えてしまいかねません。くっきり映るかぼやけ気味かは撮影の意図や被写体によってもそれぞれ良し悪しが分かれる為、どちらが良いとは一概に言えない部分もあります。
また、夜景シーンでは特に光の当たらない部分にノイズが出るかと思いましたが、EOS5Dでは拡大してもノイズは見当たらず。逆にXA20はビルの窓から漏れ出る光の部分にノイズが発生しています。EOS5DとXA20。どちらの表現が好みかは人それぞれですが、画質における単純なデジタル処理の精度という観点ではEOS5Dの方が優れていると思います。
最後にフラッグシップモデルではないものの試しにスマホでも動画を撮ってみたのでご覧ください。
スマホで撮影
スマホで撮影(夜景シーン)
あくまで静止した被写体ではあってもスマホも意外に侮れません。特に色味などはほぼ調整することなく、そのまま使えそうな画像になっています。
さて、ブログ冒頭でも書きましたが、敢えて一眼カメラで動画を撮影するメリットである高画質で綺麗な画像を撮れるという結果を改めて再認識することが出来ました。
さて、実際に映像を撮る場合は鉄道模型が走行していたり、あるいはカメラを動かしたりと画質だけではない動画性能も重要になってきますが、ブログ冒頭でも書いたとおり、敢えて一眼カメラで動画撮影をするメリットである高画質で綺麗な画像を撮れるという結果を改めて再認識することが出来ました。これで高画質なシーンを撮れるという一つの表現手段として映像作りにも活かせることが分かりました。
今回は新たな映像制作にむけて、EOS5DMarkIVの動画画質をビデオカメラと比較してみました。最後までご覧いただき、ありがとうございました。